理学療法士から異業種に転職をしてみよう
このページでは、理学療法士から異業種への転職を考えている方に向けて一般企業への転職に役立つ情報をまとめてみました。現状から見える人間関係のストレス、将来への不安などの転職理由。そして、異業種の転職のメリットや仕事の種類・事例。転職者の感想や面接や志望動機の書き方など気を付けたい点もご紹介しています。転職の際にはぜひ参考にしてください。
目次
なぜ多い?転職を考える理学療法士
理学療法士にとって転職は珍しいことではありません。全てとは言えませんが、入職3年目に転職を考える人が多いのです。その中でも20代が特に多く、「若いうちに経験を積んでおきたい」と積極的に転職するようです。経験を積む以外にも転職を考えるタイミングがあるとすると、それはどんな時に訪れるのか具体的に確認してみましょう。
転職理由
最も多い転職理由は次のようになっています。
- 仕事が忙しい
- 職場人間関係のストレス
- 収入など将来の不安
- 視野を広げたい
では、具体的に見てみましょう。
仕事が忙しい
新人理学療法士に多いのが、患者さんへの訓練などを効率的に行えないことや仕事に慣れていないことからカルテや様々な書類の作成に時間が掛かり、業務時間以内に終了することができずに残業となってしまう方が多い。この、リハビリ業務以外のカルテや書類作成に時間をとられて残業するのは新人だけでなく、ベテランの理学療法士も残業することが多く、新人と同じように悩みを抱えています。
職場人間関係のストレス
新人理学療法士は、仕事に不慣れなこともあり先輩や上司に叱られることも多くなります。また、わからない事を質問したくても厳しい先輩や上司には委縮し聞きにくいなど、職場によっては言い出せない雰囲気があるようです。
収入など将来の不安
国税庁が発表した「令和元年分民間給与実態統計調査」によると
- 一般サラリーマンの平均年収は、約436万円
- 理学療法士の平均年収は、約405万円
「令和元年分民間給与実態統計調査」
引用)https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2019/pdf/001.pdf
この平均額で比べてみると、理学療法士の平均年収が少し低いことがわかります。だからこそある程度のキャリアを積み、転職することで給料アップを叶えたいと思うのでしょう。
視野を広げたい
現在、病院勤務だとしたら「自分の視野を広げたい」「多角的な視点で患者さんと関わりたい」など、これまでとは違った職場を経験して視野を広げたいと考えることがあると思います。これまでとは違う環境は、先輩・上司・仲間・患者さんとの新たな関りが経験を深め、セラピストとしての技術の向上や人間としての視野を広げることに繋がるのではないでしょうか。
理学療法士の離職率は?
2018年の「第2回 理学療法士・作業療法士需給分科会」によると平均離職率は医療で10.2%となっています。
【医療機関・介護福祉領域の離職について】
「第2回 理学療法士・作業療法士需給分科会」
引用)https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000120210_4.pdf
2018年雇用動向調査結果によると、2018年1年間の離職率平均は14.6%でした。こちらは全体の離職率ですので、あらゆる業界を含みます。離職率が高いのは、宿泊業・飲食サービス業の26.9%離職率が一番低いのは、建設業の9.2%この様に見ると、理学療法士の離職率は決して高くはないように思います。しかし理学療法士は国家資格ですから、転職の多くは同じ業界での職場変えがほとんどになるため、一般のサラリーマンの転職とは少し傾向が違うように思います。
【産業別入職率・離職率(平成 30 年)】
「雇用動向調査結果」
引用)https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/19-2/dl/gaikyou.pdf
理学療法士を一度辞めてみてもいい!
理学療法士を辞めたいという決断に至った方は、思い切って「理学療法士を一度辞めてみてもいい! 」と思います。その場合、「どんな仕事をしたいか」をきちんと考え、情報収集しましょう。リハビリ職はある程度ブランクがあっても業界に戻ることができます。だからこそ一度、違う経験をすることも良いでしょう。
理学療法士から異業種への転職
安定した職業である理学療法士を辞め、全く異なる業界へ転職することは容易ではありません。でも、新たなスタートとして前向きに考える事も大切です。それでは異業種への転職のメリットや気を付ける点を見ていきましょう。
メリット
理学療法士から異業種への転職するメリットをまとめました。
- ビジネスマナーが身に付く
- 違ったスキルが身に付く
- 視野が広がる
ビジネスマナーが身に付く
理学療法士として働いていると、なかなかこのような一般的なスキルが身に付きにくいです。
- メール・電話対応
- 言葉遣い
- パソコン業務
- 資料作成
違ったスキルが身に付く
理学療法士業界とは異なる、異業種ならではの思考やスキルを身に着けることができるでしょう。
- 問題解決思考スキル
- コミュニケーションスキル
- パソコン業務
- 資料作成
視野が広がる
外に出て初めて業界ごとの雰囲気や働き方、姿勢、成果を上げるなど違いが見えてくるようになります。これは経験しないとわからない部分です。それはこれからの自身にとってプラスとなり、医療業界とは全く異なる環境や人間関係を知ることができる要素であり、チャンスでもあります。
気を付ける事
異業種へ転職する際にどの様なことを気を付けたらいいのでしょうか。
年齢制限
現在、採用における年齢制限は法律で禁止されています。平成19年10月に雇用対策法が改正され「事業主は労働者の募集及び採用について、年齢に関わりなく均等な機会を与えなければならない」とされたのです。
年齢制限できる場合とは
- 例外事由 1号 定年年齢を上限として、その上限年齢未満の労働者を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合
- 例外事由 2号 労働基準法その他の法令の規定により年齢制限が設けられている場合
- 例外事由 3号 イ 長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合
- 例外事由 3号 ロ 技能・ノウハウの継承の観点から、特定の職種において労働者数が相当程度少ない特定の年齢層に限定し、かつ、期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合
- 例外事由 3号 ハ 芸術・芸能の分野における表現の真実性などの要請がある場合
- 例外事由 3号 ニ 60歳以上の高年齢者または特定の年齢層の雇用を促進する施策(国の施策を活用しようとする場合に限る)の対象となる者に限定して募集・採用する場合
実情
とはいえ、異業種の場合、この年齢というのがもっともシビアになってきます。多くが「例外事由 3号 イ 長期勤続によるキャリア形成を図る観点から」と記載をしている場合が多いです。もちろん、そういった企業ばかりではありませんから、年齢制限が法律で禁止されたことによりチャンスが増えたことには違いありません。
志望動機の書き方
志望動機とは応募者からその企業でなぜ働きたいと思ったのかを伝えるものです。採用担当者の目的は、長く活躍し会社に貢献してくれる人材を求めます。
【記入のポイント】
- なぜその企業を選んだのか
- なぜその仕事がしたいのか
- その企業で自分に何ができるのか
- その企業が求めている人材と自分のどこがマッチしているか
自分を分析し、雇ってもらった場合のメリットをうまく伝えられるようにしましょう。
面接
企業によっては面接が「一次面接」「二次面接」「最終面接」と複数回行われることがあります。また、中途採用での筆記試験を行う場合もあります。面接では測りにくい「基礎能力」を判断するためのものです。職種によっては、即戦力としてどの程度の専門知識を持っているかが重要になります。
【筆記試験の種類】
- 適正を判断…能力・性格検査
- 文章力、数的処理能力、時事問題などの基礎学力・知識…一般常識
- 実務上で必要な経験・スキル…論文・専門領域
一次面接
書類選考後に最初に行われる採用面接は一次面接とよばれます。面接官は募集部署の担当者や責任者であったりと企業により異なります。書類ではわからない人柄やマナーをチェックするのが一般的です。面接回数が複数ある場合、この一次面接で採用が決まることはまずありません。ですから、一次面接は次の二次面接へ繋げるための面接と考えて挑みましょう。
二次面接
一次面接での結果をもとに更に深堀されるのが二次面接です。自社に必要な人材かを判断するために応募者の価値観や性格、能力などをチェックされます。
最終面接
社長や役員などの経営層が行うのが最終面接です。 経営層の場合、実務的な面で判断するのではなく、企業理念への理解があるのか、将来のビジョンを持っているかという視点での判断をされます。
理学療法士を辞めた人はどんな職種を選んでいるのか
ここでは実際に理学療法士から異業種へ転職した人は、どんな仕事に就いているのか事例をご紹介します。
仕事の種類(業界含)
- 福祉用具業界
- スポーツ用品メーカー
- パーソナルトレーニングジムのトレーナー
- 住宅メーカー
- 不動産業界
- 行政の事務
- 新聞記者
事例
ここでは理学療法士からどのようなきっかけや思いで異業種へ転職したのかに実例の経験談を元にご紹介します。
【事例1.理学療法士から行政の事務へ】
患者さんがリハビリを受けるうえで、整備しなければならない国や市の制度がたくさんあると感じ、行政の方へ転職を決意しました。
【事例2.理学療法士から福祉用具業者へ】
患者さんのよりよいリハビリを研究する際に歩行器にたくさんの可能性を感じて、歩行器を扱う福祉業者として転職を決意しました。
【事例3.理学療法士から新聞記者へ】
理学療法士として病院勤務中に、ガンを患い、闘病生活へ。命の尊さを理学療法士として勤務しているときよりも強く感じ、この尊さを世に広める活動をしたいと思い、新聞記者へ転職を決意しました。
異業種へ転職してよかったところは?
- 理学療法士として病院や施設以外で活躍できることを知った
- これまでの知識を活かせる
- 企業には様々な部署・分野があることを知ることができた
- チームで成果をあげる楽しさと厳しさ、遣り甲斐
- ビジネスマナーや社会性が備わった
- 理学療法士への想いが強くなった
やっぱり理学療法士として働きたい
理学療法士の仕事そのものが嫌になったわけではない、自分にあった職場を選びたいなど、行きつく先は「やっぱり理学療法士として働きたい!」と思ったら職場を変えるなど、これまでと違った環境をえらんでみてはいかがでしょう。
職場を変える
少子高齢化に伴い、理学療法士の需要は高まり介護系の求人数も多くなってきています。まずは自分にあった職場を探してみましょう。下記のページに理学療法士の転職先の特徴についてまとめてみました。転職先を選ぶ時の注意点や、失敗してしまうケース、転職先の特徴(病院、クリニック、介護施設、訪問、教員など)について。また実際の転職の事例、キャリアアップするためのポイントについてご紹介しますので、是非参考になさってください。
理学療法士に人気のおすすめ求人
全国47都道府県から理学療法士が集まる人気の転職先「コンパス」についてご紹介します。コンパスに転職するメリット、理学療法士が実践する4つの働き方、キャリアアップ制度について。またコンパスが今後目指す職場のイメージについても合せてご紹介しますので、コンパスについてご興味がありましたら是非お読みください。
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