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理学療法士の初任給はいくらくらい?

ここでは理学療法士の初任給についてご紹介します。平均初任給や具体的な手取り額、一般的なサラリーマンとの比較や、年代別の平均年収、また年収アップの方法や他の医療職との違いなど様々な情報をまとめました。是非参考にしてください。

理学療法士の初任給について

気になる理学療法士の初任給ですが、所定の専門学校もしくは大学を卒業後、新卒採用で就職した場合の初任給は20~25万円前後、年収280~320万円程度であることが多い傾向にあります。入社時の時点では、理学療法士としての働く経験や臨床能力の面で差がないため、病院・デイサービス・訪問看護、クリニックなどの業態での給与の違いとなっています。下記に初任給の平均額、または手取りにするといくらぐらいになるのかまとめました。

理学療法士の平均初任給はいくらぐらい?

理学療法士の平均初任給額は約23万円、初年度の平均年収額は約303万円です。理学療法士の昇給制度は、個々の能力に応じて都度昇給があるというものではなく、原則年1回、年齢と勤続年数に応じて昇給していくことが一般的です。そのため、昇給制度の査定に関わる要件や平均的な昇給額によって、次年度からの年収に少しずつ差が開き始めます。

理学療法士の平均初任給額は約23万円

※参考)厚生労働省の平成30年賃金構造基本統計調査

初任給の手取り額はいくらぐらい?

手取りとして手元に入ってくるのは、額面給与のおおよそ75~80%です。社会保険料のうち、健康保険と厚生年金は「翌月控除」としている会社が多いため、初任給からは引かれません。ただし、翌月からは健康保険と厚生年金の控除が始まるため、今回は20%は控除、80%が手取りとして単純計算すると、下記のようになります。

【初任給の手取り額】

平均初任給額 約230,000円
控除額 おおよそ20%が控除額とする
230,000円×20%=46,000円
手取り額 230,000円-46,000円=184,000円
手取り額:184,000円

理学療法士の初任給の手取り額は約18.4万円

理学療法士と一般的なサラリーマンの平均初任給の違い

一般のサラリーマンの平均初任給は、2020年の厚生労働省の調査によると、大卒の初任給の平均額は22万6,000円程度となっています。この額面は平均値なので、業界や勤めている企業、職種、地域での差が大きく、各種手当の有無によっても金額は変わってくるでしょう。

【理学療法士と一般的なサラリーマンの平均初任給】

理学療法士の平均初任給 約23万円
大卒サラリーマンの平均初任給 22万6,000円

理学療法士の初任給額は一般のサラリーマンの初任給を若干上回る


※参照)「平成30年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況(厚生労働省)」

一般のサラリーマンの初任給はアップダウンを繰り返してはいるものの、2013年以降から上昇を続けています。その中でも理学療法士の初任給額は一般のサラリーマンの初任給を若干上回る形となっています。それでは年代別に年収がどう推移していくかを下記にまとめましたので参考にしてください。

理学療法士の年代別の平均年収

20代 354万円
30代 418万円
40代 480万円
50代 537万円

※参考)厚生労働省「民間給与実態統計調査(e-Stat)

一般的な会社員(正社員)の年代別の平均年収

20代 348万円
30代 444万円
40代 510万円
50代 613万円

※引用)DODA 平均年収ランキングより


20代~30代の年収は大きくは変わらないものの、40代~50代になると差が開きはじめています。このことから理学療法士は一般サラリーマンに比べて昇給率が低いことがわかります。

理学療法士の収入アップの方法とは

管理職を目指す

勤務先によって異なりますが、理学療法士の業界は昇給率は少なく、3000~5000円前後のところも少なくありません。そんな中、年収を上げていくために、管理職を目指すのも一つの方法です。職場によっては、管理職になることによって月20,000円~50,000円前後の役職手当が支給されます。チームをまとめる術や管理業務など新しい分野の勉強も必要になりますが、確実に年収を増やすことになるでしょう。

スキルアップや認定試験などを取得する

クリニックなどではスキルを身に着けることで昇給をさせる体制を設けているところもあります。事例としましては何かの専門的な手技(AKA、SJF、PNFなど)をクリニックで取り入れ、その手技の筆記試験、認定試験などのコースをクリアしていくことにより昇給を設けているところがありました。さらに治療技術が上手いセラピストは、口コミで患者さんが集まり、院長の評価があがり昇給があったという事例もあります。そういったステップを踏める職場を勤務先として検討することや、院長に実力を認めさせるというのも一つです。

評価制度やキャリアアップ制度がある勤務先に入る

一般的に昇給やキャリアアップの制度を設けている施設は少ないです。しかし最近は母体がしっかりしている会社は評価制度を導入し、社員の働きやすさを整備しているところが少しづつ増えてきています。特に最近のデイサービス施設では独自の評価制度を設けているところが増え、これまでの実績や会社への貢献度に応じて昇給できている事例がでてきています。今就職先を検討している人は、評価制度、キャリアアップ制度などをあるところも視野にいれて探してみてはいかがでしょう。

ほかの医療系専門職との給与比較

厚生労働省の2017年度「賃金構造基本統計調査」によると、医療業界における理学療法士の年収は以下のようになっています。

医師 1,233万円
歯科医師 757万円
薬剤師 544万円
放射線技師 503万円
看護師 478万円
臨床検査技師 468万円
歯科技工士 407万円
准看護師 406万円
作業療法士(OT) 405万円
理学療法士(PT) 405万円
栄養士 346万円
歯科衛生士 343万円

また、柔道整復師やスポーツトレーナー、言語聴覚士(ST)、義肢装具士、精神保健福祉士、助産師、鍼灸師、訪問介護員(ホームヘルパー)、診療放射線技師などの給料のデータは参考程度ではありますが、以下の通りです。

柔道整復師 300〜400万円
スポーツトレーナー 500〜600万円
言語聴覚士(ST) 450万円前後
義肢装具士 300〜400万円
精神保健福祉士 300〜500万円
助産師 450〜550万円
鍼灸師 350〜450万円
訪問介護員(ホームヘルパー) 300〜400万円
診療放射線技師 約500万円

というのが医療系専門職の平均年収のようです。経験や勤務する職場、勤続年数、地域格差、常勤や非常勤の違いなどによっても異なります。

地方・都道府県ごとの平均年収

理学療法士の平均年収をエリアと都道府県別で調べてみました。地域別で比較すると平均年収が一番高いエリアは関東で、最も低いエリアが九州・沖縄という結果になりました。また、年収が最も高い都道府県は東京都の395万円で、続いて神奈川県の385万円、大阪府が378万円となっており、新潟県の312万円が最も低い給与水準となり、東京都との差は84万円でした。

地方別年収

北海道・東北 322万円
関東 370万円
甲信越・北陸 327万円
東海 349万円
関西 357万円
中国 327万円 
四国 334万円
九州・沖縄 323万円

都道府県別年収

北海道 325万円
青森県 316万円
岩手県 324万円
宮城県 315万円
秋田県 357万円
山形県 328万円
福島県 321万円
茨城県 356万円
栃木県 362万円
群馬県 351万円
埼玉県 372万円
千葉県 370万円
東京都 395万円
神奈川県 385万円
新潟県 356万円
富山県 323万円
石川県 328万円
福井県 328万円
山梨県 354万円
長野県 315万円
岐阜県 346万円
静岡県 346万円
愛知県 355万円
三重県 348万円
滋賀県 345万円
京都府 347万円
大阪府 378万円
兵庫県 354万円
奈良県 356万円
和歌山県 362万円
鳥取県 333万円
島根県 313万円
岡山県 325万円
広島県 335万円
山口県 330万円
徳島県 344万円
香川県 333万円
愛媛県 329万円
高知県 329万円
福岡県 328万円
長崎県 320万円
熊本県 313万円
大分県 330万円
宮崎県 315万円
鹿児島県 335万円
沖縄県 322万円

※引用)求人ボックス給料ナビ

理学療法士の昇給事情

一般的にPTOTSTの業界ではキャリアアップという言葉をほとんど耳にしません。大規模病院などで役職がつくとしても主任、課長等であり、それ以上の昇給やキャリアアップは現実的には少ないとされ、望めないのが現状です。雇用先によっても違いがありますが、民間病院における一般的な理学療法士の昇給はかなり厳しく、年に3,000~5,000円昇給すれば良いほうで、全くない場合もあります。病院の場合、公立病院であれば公務員扱いとなるので、勤続年数が増すにつれて昇給額も増える傾向にあり昇給額は年に8,000円~10,000円前後となっています。また、国立病院は公務員ではないものの、半公務員のような扱いとなり昇給額は基本給の4%(※一例)で概ね年に7,000~9,000円と高めの設定になっています。

昇給率は勤務先の施設によって異なり、事前に把握しにくいものなので概ねの相場感を知っておくことが重要だと思います。

高齢化社会における理学療法士の需要

急速に高齢化が進む日本。2025年には団塊の世代の多くが後期高齢者になることもあり、全人口に対する高齢者の割合は、厚生労働省の試算では75歳以上(後期高齢者)が18%を占め、65〜74歳(前期高齢者)を含めると人口の30%超を占めると見られています。今後、医療・福祉サービス従事者は、高齢者をいかに住み慣れた地域で生活させられるか、社会生活に適応させられるかが求められます。

このような状況を踏まえると、リハビリテーションの専門職である理学療法士の需要は年々増加傾向となり、老人福祉施設や介護施設からの求人も尽きることがないでしょう。これまでの理学療法士の活躍の場といえば、整形外科を有する病院やクリニックが中心でしたが、患者さんへのリハビリ・施術を行う介護・福祉の現場では、まだまだ理学療法士の人手が足りなくニーズが高まり、雇用する側にとっては喉から手が出るほど求められている人材です。社会に必要とされることで、働き方の可能性も広がりますし、やりがいはさらに増してくるでしょう。

理学療法士は国家資格の医療職なので、社会的にも地位が確立されており、安定して稼げます。年々進化する高度な医療について深い知識をもち、その知識を利用しながら患者さんを健康な状態へと導く、やりがいのある職業です。ケガや病気による後遺症や障害のある患者さんに対して、お身体の状態に応じて、基本的動作(座る、立つ、歩く)を回復できるよう運動やマッサージでリハビリをサポートします。

もちろん、国家資格であるため勉強は楽ではありませんが、合格率は決して低くありません。資格取得のための養成校もどんどん広がっています。そのため、多くの人が国家資格の取得を目指せる時代になっており、有資格者は増加の傾向となっています。現状では、就職や転職の際に大卒、専門学校卒など学歴で区別されることは少ないようです。資格さえ取れば、若くても活躍できます。

終わりに

理学療法士の初任給は一般サラリーマンよりは少し高めでスタートできますが、その後の40代や50代の推移をみると伸びがよくありません。そのため今から年収をアップ見据えるのであれば、理学療法士が各自それぞれの希少価値を高める努力が必要です。理学療法士としての質を上げ、幅広い分野で専門性を生かすなど、働き方次第で年収アップを目指せるのではないでしょうか。

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