大卒で理学療法士になると年収いくらくらい?
ここでは大卒と専門学校卒の理学療法士は年収に大きな違いはあるのかをご紹介します。また大学と専門学校の様々な違いについてもまとめてみましたので是非参考にしてください。
目次
大学卒と専門学校卒で給料の差はどのくらい?
大学卒と専門学校卒の給料は、結論から言いますと大きく変わりません。理由は、大卒の理学療法士と専門学校卒の理学療法士が、同じ条件で患者様にリハビリを行っても病院に入る診療費は同じだからです。診療報酬の利益は大卒だろうと専門学校卒だろうと変わらないので、当然支払う給料に差はでないということになります。ですので、多くの病院や施設で差はないのが実状です。
大学卒と専門学校卒の給料は大きく変わらない
大卒と専門学校卒の給料に差が出るのは公立・国立病院の初任給
理学療法士の公立病院、国立病院の初任給は医療職俸給表(二)で規定されています。そのため最終学歴(四年制大学卒・短大卒・高等学校卒)を基準に等号を決めることになり、その規定に準ずる金額は大卒と専門学校卒で下記のようになります。
大卒 | 約19万9,000円 |
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専門学校卒 | 約18万7,000円 |
大卒 | 約18万5,500円 |
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専門学校卒 | 約17万4,000円 |
大卒と専門学校卒では初任給の差は約1万円ぐらい
大卒と専門卒、どっちの最終学歴が多い?
理学療法士の大学卒と専門学校卒の割合は、大学卒業者が28%、専門学校卒業者が62%です。その他には大学院まで進学したりする人もいますが、専門学校卒業者が圧倒的に多いです。
大卒 | 28% |
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専門学校卒 | 62% |
理学療法士は専門学校卒業者の方が圧倒的に多い
大学と専門学校の違い
ここでは大学と専門学校の様々な違いをまとめてみましたので是非参考にしてください。
修学期間の違い
大学はすべて4年制ですが、専門学校には3年制と4年制があります。社会人経験者など年齢的な理由から少しでも早く資格を取得したいと言う人は3年制専門学校が良いでしょう。注意が必要なのは3年制は短期詰め込み型のカリキュラムになっており、勉強についていけないケースがあるということです。可能であれば4年制を選択することをおすすめします。
大学 | 4年制 |
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専門学校 | 3年制と4年制がある |
学費の違い
地域によって差はありますが、大体以下の学費の差があります。
私立大学 | 560~640万程度(年間140~160万円程度) |
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私立短大 | 360~510万程度(年間120~170万円程度) |
国立大学 | 250万程度(年間50~60万程度) |
専門学校(3年制) | 360~420万程度(年間120~140万程度) |
専門学校(4年制) | 360~440万程度(年間90~110万程度) |
専門学校の方が学費は安い
入学試験の違い
今では大学も含めてAO入試や推薦入試など、様々な入試が行われており、入試の違いによって募集人数が違うこともあるため一概には言えませんが、大学は3~5倍、専門学校は1~3倍といった感じでしょうか。大学受験は偏差値で目指す学校を絞るのが一般的ですが、専門学校は正確な偏差値が公表されていないので、偏差値を参考にするのは難しいと思います。また、生徒さんの偏差値が高くても、専門学校には合格できないこともあります。今の入試の在り方では、やはり大学は「学問を追及するための学校」という前提がありますので、入試についても学力が重視される傾向にあります。一方専門学校は「実践的な職業教育を行う学校」という前提ですので、学力よりも「理学療法士としての資質を備えているかどうか」の方が問われます。その資質といっても高いレベルのものが求められているわけではなく、現場で求められているような人材像である「明るさ、元気さ、素直さ」といった要素を持ち合わせているか、理学療法士として働き続けていくことができるかどうかといった視点が重視される傾向にあると思います。そんなこともあり専門学校の入試では筆記試験だけでなく、「グループ面接」など、学力だけでは測れない生徒さん自身の良さを探るための方法がとられています。
授業内容の違い
講義形式の授業については、大学でも専門学校でも大きな違いはありません。国家試験の受験科目は決まっていますので、大学でも専門学校でも受験に必要な授業内容は必ず網羅します。ただ講義を受ける人数は大きく異なります。専門学校は30~40人の少人数制がほとんどであるのに対し、大学は100人以上(大学によっては200人以上)が一つの教室で授業を受けることも多々あります。
実習先について
実習先については医学部のある大学では附属病院や関連施設での実習となることも多いですが、専門学校ではいわゆる一般病院、介護老人保健施設、クリニック等での実習となることが多いです。臨床実習の内容や実施時間などは専門学校と大学では大きな違いはありません。
得られる学位・称号の違い
大学を卒業すると「学士」、4年制専門学校を卒業すると「高度専門士」、3年制専門学校を卒業すると「専門士」という学位が取得できます。学士や高度専門士を取得すると大学院修士課程や博士課程に進むことができ、「修士」や「博士」の学位取得を目指すことが出来ます。学位はわかりやすく言えば学歴を示すものであり、学歴を重視する分野では役に立つことがあります。
大学 | 学士 大学院に進むことができる |
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専門学校(4年制) | 高度専門士 大学院に進むことができる |
専門学校(3年制) | 専門士 大学院不可 |
大学院 | 修士、博士 |
就職先について
資格を必要としない一般企業への就職を考えると、大学卒の方が有利になるケースが多いですが、理学療法士の場合は国家資格を有していることが前提となりますので、大卒だから有利になるということはありません。公立病院や国立病院などで初任給の設定金額に差があるというところ以外では大きく
大卒・専門学校卒の違いで就職先の優位性はない
学校の設備や雰囲気の違い
敷地の広さ、附帯設備の多さについてはやはり大学の方が勝っています学校を設置する基準が大学と専門学校では異なっているためです。先にも出ましたが、大学は「広く学問を学ぶための学校」という前提がありますので、中学校や高等学校と同じように、グランドがなくてはダメ、体育館がないとダメといった法的な規制があるためです。一方専門学校は「実践的な職業教育を行う学校」なので、「教育上必要な設備」を最低限備えておけば良く、グランドも体育館もない学校がほとんどです。ただし、理学療法士教育に必要となる設備については大学も専門学校も違いはほとんどありません。また、クラスメイトですが、大学ではほとんどが同世代(というより同年齢)ですが、専門学校、特に3年制の専門学校には、大学や社会人経験を経た方も入学してきますので、年齢層が幅広くなる傾向があります。試験前など普段の学習に苦しんでいる時、お兄さんお姉さん(場合によってはお父さんお母さん?)に頼りたいという気持ちのある方は、3年制の専門学校の方が雰囲気的には合っているかもしれません。就職先のことを考えても、同年代の人たちだけが働いているわけではありませんので、そんな社会の縮図(?)を学生の時から経験したいという方には3年制の学校が良いと思います。そして、普段から授業でお世話になる教員の雰囲気は大学と専門学校の違いというよりは、各学校それぞれの雰囲気があるという感じでしょうか。こればかりは体験入学、オープンキャンパスなどに参加して自分の肌で感じるしかありません。
理学療法士の教員として進むなら大学
理学療法士は臨床経験5年以上となると教員になる資格が得られます。その際に、専門学校・大学のどちらを卒業している方が有利なのか。大学は幅広い知識、分野を学べるうえに、人脈形成をつくる上でも有効な場所です。教員になると実習先の確保などで苦労するタイミングがありますが、その際に幅広い人脈をもっているとスムーズに業務を運ぶことができます。大学教員などで研究などの分野にも携わりたい方は、研究功績が認められれば、助教授、教授などを狙うことも可能です。将来を見越したうえで検討されるといいと思います。
公務員になるなら大卒の方が有利?
公務員の世界は一般的には学歴社会となっているところが多いですが、理学療法士はそこまでの学歴社会の風習はありません。公務員の規定として若干の初任給の差は生じますが、大卒だから何かに有利などはなく、国家資格保持者として平等に評価されることがこの業界の特徴です。以下に具体的な公務員の年収を紹介します。
公務員理学療法士の年収
公務員の給料は、俸給表や給料表の基本給+各種手当・賞与で構成されます。理学療法士の場合、国家公務員俸給表では「医療職俸給表(二)」に、地方公務員給料表では「医療職給料表(2)」に該当します。公務員は「基本給×(12ヶ月+ボーナス4ヶ月分)」を想定して、みなし公務員はある求人情報の例をもとに比較しました。その他、等級や号、手当により大きく変わるため、あくまで平均値としてご参考にしてください。
区分 | 年収目安 |
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国家公務員 | 約320万円~ |
地方公務員(さいたま市) | 約336万円~ |
一般理学療法士平均 | 約405万円 |
区分 | 月収・基本給目安 |
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国家公務員 | 約20万円~ |
地方公務員(さいたま市) | 約21万円~ |
一般理学療法士平均 | 約28万円 |
受験資格
理学療法士の免許を有する人または令和3年3月31日までに卒業する見込みで免許取得見込みの人となっています。
条件 | 受験資格 |
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年齢 | 勤務地のよって異なります 例:年齢制限はありません 例:和58年4月2日以降に生まれた者 |
募集資格 | 理学療法士免許を有すること |
受験資格に年齢制限を設けているところと、そうでないところあり
試験内容
第1次試験 | ・一般教養試験(一般常識、言語能力、数的能力等(択一式)) ・専門試験(解剖学、生理学、運動学、病理学概論、臨床心理学、リ ハビリテーション医学(リハビリテーション概論を含む)、臨床医学大要(人間発達学を含む)、理学療法等) |
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第2次試験 | 面接 |
2021年の理学療法士の国家試験合格者数・合格率
受験者数 | 11,946人 |
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合格者数 | 9434人 |
合格率 | 79% |
今年の理学療法士の国家試験は、受験者数11,946名、合格者数9,434名、そして合格率は79.0%となり、過去5年のなかで1番低い数値となりました。この合格率や、自分がどのように学んでいきたいかをしっかり考え、大学、専門学校への進路を考えることをお勧めします。それでは次にどのような人が大学進学に向き、専門学校に向いているのかご紹介します。
理学療法士の大学進学に向いている人
将来的に大学院で研究をしたい人や、教員として働きたい人、将来的に違う分野での活躍を考えているなど、幅広い教養を得たい人は大学がおすすめです。また、大学のキャンパスライフに憧れており、サークル活動やアルバイトなどで多くの人と触れ合いたいという人は大学を選ぶといいかもしれません。しかし、現実的には勉強が忙しいため、遊ぶ時間は限られます。留年すると大きな金銭負担があることを忘れてはいけません。
理学療法士の専門学校進学に向いている人
専門学校に向いているのはいち早く資格を取得し、理学療法士として臨床で働きたいと考えている人です。社会人経験がある人の多くは専門学校を選択しています。学費を少しでも抑えたいと考えている人も専門学校がおすすめです。3年制はもちろん、同じ4年制で比較しても大学よりも学費が安い傾向にあります。また、定員数が少ないことで教員から細かな指導を受けることができます。実技などを教員みっちりと学びたい人は専門学校がおすすめです。
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